豪ドル/日本円の今後の値動きを、テクニカル分析から見ていきましょう。
豪ドルは先進国通貨でありながら資源国通貨の側面をあわせ持つ通貨です。資源価格が上昇すると豪ドル相場も上昇する傾向があります。
オーストラリアは歴史的に先進諸国の中ではインフレ率が高くなりがちなことから、金利も他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。そのため、世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、豪ドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出して豪ドル安となることもあります。
米ドルやユーロなどと比べると、市場規模が小さいため、投資資金の移動が始まると一方的な動きとなりやすい特性もあります。また値幅も非常に大きく、変動のスピードも速くなることが多いため、余裕をもった投資を心掛けることが必要でしょう。
オーストラリアは世界第6位の広大な土地 (日本の約20倍) に約2,626万人 (2022年12月) の人々が暮らす国です。19世紀に全土がイギリスの植民地となって以来、主にイギリスからの移民によって人口が拡大しました。現在でも英国連邦に属し、英国のチャールズ3世国王がオーストラリア国王を兼ねていて、英国との親密な関係が維持されています。
先進国でありながら金、鉛、ニッケル、ウラン、亜鉛、鉄鉱石などを産出する天然資源が豊富な国です。そのため新興国の成長によって“資源ブーム”が起こった2003年から2007年頃には、オーストラリア経済も好調で、オーストラリアドル (豪ドル) は金利が高く、投資家の人気を集めました。しかし、新興国経済が減速した2016年以降は、経済成長が伸び悩み、金利も低下傾向でした。
輸出における資源・エネルギーの割合は約50%と非常に高いものの、実は鉱業がオーストラリアのGDPに占める割合は約10%とそれほど高くはありません。GDPの約70%は金融や公益事業、消費関連などのサービス業が占め、オーストラリア経済の主役となっています。移民政策も含め、先進国としては珍しく当面の人口増加が見込まれている点にも注目すべきでしょう。しかしやはり資源・エネルギーの輸出はオーストラリア経済の足元を固めています。その点で今懸念があるとすれば、輸出入ともに相手国として中国が第一位である点です。中国の景気に左右されやすく、今後の米中関係、中露関係の行方や、中国の太平洋への進出によって豪中関係に変化があると、大きな悪影響が出る可能性があります。
コロナ禍に対しては、当初は国境封鎖をはじめとする強力な感染対策による封じ込めに成功しましたが、その後、感染が拡大するとともに、第2の都市メルボルンでは累計で世界最長となったロックダウンが実施されるなど経済活動に深刻な悪影響が出ました。ただ、出遅れたワクチン政策が軌道に乗ったことで、2022年10月にはほとんどの規制が解除されました。
2022年2月にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を開始して以来、オーストラリアを含む西側諸国はウクライナに物心両面で支援を続けていますが、ロシアに対しては経済制裁を科すなど厳しい姿勢を示しています。この間も中国は西側諸国と異なってロシアとの緊密な関係を維持しています。加えて中国による海洋進出をけん制することも目的のひとつとしてAUKUS (豪、英、米) やQUAD (日、米、豪、印) などの取り組みも始まっています。さらにソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結したことをオーストラリアは強く懸念していて、今後豪中関係に大きな変化があれば経済へのネガティブな影響となることが考えられます。
長年高金利が魅力とされてきた豪ドルですが、コロナ禍後の利上げサイクルでは米英などに比べやや慎重な利上げペースとなっていました。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年5月に政策金利を0.10%から0.35%に引き上げて利上げを開始し、2023年6月までに4.10%まで引き上げました。その後アメリカの利上げが終了したとの見方が広まる中、しばらく様子見をしたものの2023年11月に再び4.35%へ引き上げました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方RBAは2024年6月の理事会まで政策金利を据え置いていますが、「インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」「インフレ率を2~3%の目標範囲に戻す道のりはまだ長い」として、必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明しています。すでに2024年6月に利下げをしたユーロ圏に続いて、アメリカ、英国など主要国が年内に利下げに転じると見られる中、タカ派的な態度を崩していないオーストラリアは、他国との違いが際立つ形となっています。
仮にコモディティ市場が上昇していくのであれば豪ドル/日本円の上昇を後押ししますが、下落していくのであれば豪ドル/日本円の下落要因となる可能性もあるかもしれません。
引き続き、インフレ・ウクライナ侵攻・主要国の金融引き締めなどに注視していきたいところです。
以下は、豪ドル/日本円の日足チャート(2022年11月7日時点)です。
先進国の中では歴史的に金利が高い通貨ですので、金利動向には敏感に反応します。またRBA総裁などの金融当局者や、政府閣僚などから、為替水準に関する発言が比較的多くあり、その内容が市場で注目されます。高金利を背景に投資対象として見られることが多いことから、世界が政治的、経済的に安定している時には豪ドル高になりやすく、反対に混乱すると豪ドル安になりやすい性質があります。
現在は輸出主導型から内需中心の経済へ移行しつつありますが、それでも豊富な天然資源や食料品の輸出は盛んです。したがって、世界的な景気に影響を受けることはもちろん、貿易相手として輸出入ともに第1位の中国の景気に左右されるため、自国の経済指標と同様に中国の経済指標も豪ドル相場に大きく影響します。また資源国通貨の側面もあることから、原油・鉄鉱石・金など資源価格の変動も、豪ドル相場を動かす要因となり、商品市況の動きにも注意する必要があります。
以下は、豪ドル/日本円とCRB指数(ロイター/ジェフリーズCRB指数)を比較したチャートです。
2008年の豪ドルの金利は約7%もあり、かつては高金利通貨として人気を誇ったほどです。
その後は下落基調となり、2021年~2022年にかけては過去最低の「0.1%」まで下がっています。
しかし2022年5月の金融政策決定会合で利上げに踏み切り「0.35%」まで上昇、その後も緩やかな上昇を続け、2022年10月には「2.6%」、11月には「2.85%」、12月には「3.1%」まで上昇しています。
豪ドル/日本円(AUD/JPY)の今後の動向を見る上でのポイントは、主に以下6つあります。
豪ドル円(AUD/JPY):今後の見通しは?注目点を解説 - みんなのFX
2022年11月現在では、格付け大手会社の3社(S&P・Moody’s・Fitch)がいずれも最上級の「AAA(トリプルA)」をつけています。
格付けが良く信用リスクが低いオーストラリアの通貨「豪ドル」は、比較的安心して取引を行いやすいといえましょう。
過去5営業日分の為替レートを表示します。 1米ドル, 1豪ドル
以上、豪ドルの特徴について解説しました。
続いて、豪ドル/日本円は今後どのように価格推移していくのかを様々な観点から分析していきます。
【2024年前半】豪ドル円(AUD/JPY)の今後の見通し・予想
大きな方向性は似通っており、豪ドル/日本円と「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」の相関性が確認できます。
「」でも述べたように、金利差は為替相場にも影響を与えるので、確認をするようにしましょう。
オーストラリアドル 日本円 相場情報 ; リアルタイム外国為替
豪ドル/日本円は、「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」と相関関係があります。
以下は、豪ドル/日本円と「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」の値動きを表示したチャートです。
豪ドル・ユーロなど全9通貨の外国為替相場チャート表です。最新 ..
豪ドルか日本円で資産運用する場合、どちらの通貨で運用したいと思うでしょうか?
大半の方は、豪ドルで運用したいと答えるはずです。
そうなると豪ドルを買い、日本円を売ることが多くなり、結果的に豪ドルの価格が上昇し、日本円の価格が下落します。
金利差がさらに開けば、豪ドルの買い、日本円の売りがさらに加速するのです。
1豪ドル, 98.55円 ; 外貨入金特約 為替レート · 1.6118豪ドル ; 円支払特約 為替レート · 156.88円
FXは「外国為替証拠金取引」とも呼ばれ、日本円や米ドルなどの通貨を売買して損益が発生する投資です。
2025年のFX市場の見通しは? ユーロに弱さ 円高急進の可能性も
外貨普通預金は、「米ドル」「ユーロ」「豪ドル」「ランド」「NZドル」「レアル」「中国元」「ウォン」と、充実の8通貨のお取引が可能です。
一覧はからご確認いただけます。
1オーストラリア・ドル(AUD)は今いくら? 日本円で金額をチェック
たとえば豪ドルの金利は「+2.5%」、日本円の金利は「0%」と想定します。
仮に100万円の資金で1年間運用すると、1年後に豪ドルは「102.5万円」、日本円は「100万円」のままです。
(例では話を単純にするため、為替レート、税金などは考慮していません)
豪ドル、一時急落 99円割れ目前 トランプ関税で経済見通し懸念
AI外貨予測は過去の為替の変動から、数時間後~数日後の為替変動をAIが分析・予測します。AIが予測する通貨は米ドル・ユーロ・豪ドル・ランド・NZドルの5通貨で、各通貨の1時間以内・1営業日*以内・5営業日*以内の変動を予測します。
*月曜日~金曜日 ツールの詳細についてはをご確認ください。
1000(AUD) オーストラリア・ドル(AUD) へ 日本円(JPY)
外貨預金とは、日本円を米ドルやユーロなどの外貨に両替し預金する方法です。
日本円の預金と同様に、外貨を預金している期間に応じて、利息を受けられます。
1000000(AUD) オーストラリア・ドル(AUD) へ 米ドル(USD)
かつては高金利通貨の代名詞であった豪ドル。現在でも個人投資家からの人気は健在で、2023年の国内の個人投資家における取引金額割合では3位の人気を誇っています。また、オーストラリアの政治経済や、チャートのテクニカルポイントに関するニュース配信も豊富ですので、豪ドル/円のお取引は「みんなのFX」のご利用をぜひご検討ください。
なお、先述の通り、豪ドル/円の値動きやスワップポイントの変動は、鉱物資源の需要に左右される傾向が強いため、世界経済や中国経済の動きに影響されます。また国内景気や、インフレ動向を判断するRBAの政策金利・声明文もしっかりウォッチしながら取引すると良いでしょう。
(2024年5月時点 トレイダーズ証券 市場部)
変換する オーストラリア・ドル(AUD) へ 米ドル(USD)
また併せて、毎月公表される豪雇用統計も押さえておきたいです。直近は雇用環境も大都市のみならず幅広い地域で改善していることが確認されており、正規雇用を中心に底堅さが伺えるなど賃金上昇に繋がりやすい状況が続いています。対して、コロナショックで一時悪化した失業率は改善を続け、およそ50 年ぶりの低水準で推移しています。雇用者数や失業率のデータはRBAが非常に重視しているデータで、これらの変化に着目することで、今後のRBAの金融政策や豪ドル/円相場を見通すヒントが見えてくるかもしれません。
豪ドルを学ぼう!」 後半「FX実践講座」でも「重要通貨・豪ドル ..
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外貨建てMMFとは、米ドルやユーロなどの外貨で運用する投資信託です。