ASIAN KUNG-FU GENERATION「ファン感謝祭2024」の様子。(撮影:山川哲矢)


エモーショナルでポップな旋律と重厚なギターサウンドで、デビュー以降数々のヒット作品を世に輩出し続けているASIAN KUNG-FU GENERATION。2023年にメジャーデビュー20周年を迎え、今年はドラム・伊地知潔の正式加入25周年であることを記念し「ASIAN KUNG-FU GENERATION Anniversary Special Live “ファン感謝祭 2024”」を開催。MUSIC ON! TV(エムオン!)では、神奈川・横浜BUNTAIにて8/24・25の2日間にわたって開催されたこの公演から、8/25の模様をテレビ独占放送!


■■番組情報■■
<番組名>
M-ON! LIVE ASIAN KUNG-FU GENERATION
「ASIAN KUNG-FU GENERATION Anniversary Special Live “ファン感謝祭 2024″」
<放送日時>
2024/10/30(水)22:00~24:00
[再]2024/11/19(火) 22:00〜24:00
[再]2024/12/18(水) 24:00〜26:00

From MOP of HEAD)とお馴染みのサポートがここから合流し、メンバー紹介と共に潔への賛辞を送ったあと、丁寧なビートから一気に手数を増えすソロを見せ、潔の巧みなドラムテクを示す象徴でもある「ブルートレイン」でachicoはカウベルを鳴らしたりと、配信では確認できなかった場面も目撃した後、Georgeの鍵盤によってアレンジが「(mix for 芽衣子)」に近くなりセンチメンタルな感じに
近年はそこまで積極的に演奏されてないので、このあとのライブハウスツアーでも是非やって欲しいと思ったが、逆に「無限グライダー」はむしろ近年積極的
潔が手数の多いビートを見せる前半、繊細なリフを奏でていた喜多が一転歪んだギターを鳴らす後半を自然の映像と共に駆け抜けていくのはまさにグライダーにでも乗った気分
ここ数年、こんなに演奏されるようになるなんて思いもしなかったけど

前日Georgeのストリングスがやや目立っていた「或る街の群青」はこの日少しチューニングされていたが、LEDに映る風景には現在の桜木町駅の様子も映っていた
昔と比べると桜木町は派手になったが、アジカンのロックはいつになっても骨太
ゴッチの声もよく出ているからスケール大きい「或る街の群青」の広大さも更に大きくなってる

リクエスト第3位の曲であり、山田と潔が構築するリズムが次第に強くなり、その流れに合わせるかのようにLEDに表示される時計もダイバージェンスメーターから実際に変化する「十二進法の夕景」、アジカンの原点ともエモを喜多が奏でる美メロと共にゴッチが叫ぶ「未だ見ぬ明日に」とファン感謝祭だから選ばれたと推測される隠れ名曲を連発
そこに「迷子犬と雨のビート」でGeorgeが鍵盤から出しているであろうホーンが大きな多幸感を漂わせてくれるが、LEDに映されるアニメーションもとても可愛らしい
同時に「迷子犬〜」のPVはなぜか記憶にないが、どういったものだっただろうか

「ぼっち・ざ・ろっく!」の主題歌でカバーしようされたことで、再び話題沸騰中の「Re:Re:」は山田のベースラインを中心としたグルーヴで踊らせつつ、後方のLEDにはPVが映るが「Re:Re:」のPVは2016年時点のアジカンのキャリアを振り返るように過去のPVや名シーンをまとめて再構成したもの
つまりはキャリアの総決算となるようもので、アジカンのこれまでをフラッシュバックさせるものとなる
その映像がこちらに抱かせるのは、やっぱり「君がいないとさ!」ということ
アジカンがここまで引っ張って来てくれたのだから

そのうえで「リライト」のコール&レスポンスはこの日も控えめ
フェスの方がワンマンよりもコール&レスポンスが長いというのは少し不思議な気がするけど、フェスは客席との距離を縮めるために、コール&レスポンスを長く取っているのだろう
逆にワンマンはもともと距離が無いから簡潔に終わらせて、即座に大爆発
フェスにおける「リライト」とワンマンの「リライト」の違いが鮮明になる場面でもあった

「やっぱり俺たちはスーパーマンじゃない。ステージに立つと嫌というほど、思い知らされる部分がある。けどみんな(喜多たち)と出会ってなければ、こんなに外に開くこともなかった。あと10年は続けたいと思う。」

と前日に続き、自分たちは超人ではないし、ステージに立てば現実を突きつけられることもあることを話すゴッチ
しかし喜多や山田、潔といった3人との出会い
並びに多くの人との出会いはアジカン、並びにゴッチたちを外にかいほうしていった
アジカンの存在そのものがゴッチたちにとっては解放区だったのだろう

最後は昨日と同じく「転がる石〜」だが、モニターには新規に撮り下ろしたと思われる映像が流れ、坂本龍一と見られるような映像もあった
しかし最後の方に画面に映ったのは、

「NO WAR」

の言葉

ゴッチはこの世界情勢でも諦めてない
世界平和を望んでいるのだ
「ワールドアパート」の映像が911を連想させるものだからより心にぐっと刺さったし、混沌とした世の中でも依然転がり抜くことを宣誓するように本編は幕を閉じた

この日もアンコールが始まる前にゴッチが立ち上げた、藤枝市内に音楽スタジオを建設するクラウドファンディングの件について触れたが、

「今は制作面でも格差が出てしまう。だからこれで少しでも差を減らすことが出来たら。」

と話していたように、レコーディングは収入面でも格差が出る
ギターやベースは良い楽器ほど、良い音が出来るし何よりレコーディングはお金を非常に要する
今後のミュージシャンのために、ゴッチは少しでも安くレコーディング出来る環境を作ろうとしているのだ
せっかくの才能が収入面の関係で発揮されないのはもったいない
このクラウドファンディングが上手く成功してほしい

クラウドファンディングの説明を終えると、

「山ちゃんはビートルズが好きじゃなかったら誘わなかった。建さんは「変なやつ」と思っていたら、あっちにも思われていた。」

と山田や喜多との馴れ初めを話すも、

「潔は割愛で(笑)」

と潔の扱いはあまりにぞんざい
最近のインタビューでそこに触れられているからだろうか

そのうえでこの日も新曲「MAKUAKE」をお披露目するが、サウンド面にフォーカスをあてると、潔がストローク中心にビートを刻んでおりリズムは三拍子
メロディーはソラニンみたいな感じだろうか
ここから演奏される機会も増えるだろうから、楽しみである

すると昨日「夜のコール」だった場所には、ゲストが来ていることをゴッチが明かすが、そのゲストは橋本絵莉子
自分はロットバルトバロンの三船が来るものと思ったが、ゴッチは自身のブログで

「チャットモンチーのことは盟友だと思っている」

と書き記していた

同じ時代にロックの道を開拓した同志
アジカンと同じく、多くのミュージシャンを導く存在となった
盟友であることに誰もが納得しているはず

ならびに橋本が来たということは「All right part2」を行うが、まさか再び聞ける日が来るなんて思いもしなかった
しかも橋本が参加する完全版で
この2日間で1番のサプライズ
橋本が去った後には、

「もっとえっちゃんが歌う場所作るべきだった(笑)。」

と反省の弁を述べていたが、やってくれるだけで嬉しいから反省なんてする必要はない

「最近推し活とか流行っているけど、ああいった距離じゃなくて良いよ。みんな俺のこと知っているわけじゃないし、俺も1人1人のこと知らないんだから。」

と近年流行りの推し活ほどの距離でなくていいと話すゴッチ
近すぎず遠くなりすぎない、程よい距離が理想と言うことだろうが、

「次のアニバーサリーには来ない人もいれば、今回来なかった人が来る可能性もある。「あれ、俺のこと歌っている。」「あれ、私のことじゃん」そのフィーリングを大切に30周年をお祝いしましょう。」

と共感するくらいの距離でいいというゴッチなりの考えを述べて、最後は美しいサウンドスケープが会場を包み込むように響いていく「海岸通り」
2日間を締めくくる集大成のように鳴らされ、最後は橋本も交えて挨拶も行われたが、W Encoreを求める声が大きく、ゴッチ達が再びステージへ

「ここからはチケット料金に含まれません!!」

の宣言の元、「柳小路パラレルユニバース」を追加

「まだまだ終わりじゃないのさ」

の通り、アジカンはまだまだ走り続けることを宣言した

セットリストは初日とあまり変化はしてないものの、リクエストを元にセットリストを組んで、代表曲も散りばめた
様々な形態を見せ、映像も後ろに映すことでアジカンのこれまでをRe:Re:させた2日間となった
まさにファンへの感謝を込めた2日間になったと言える

ゴッチはこの2日間で「あと10年は続けたい」と話していた
自分の好きなあのバンドのこともあるから、10年続けることは簡単じゃない
でも限界と感じるところまでアジカンは続けて欲しい
アジカンをこれから聞き始める方も、アジカンに憧れて共演を夢見る方々もいるだろうから
なにより君じゃないなら意味がないのさ!

セトリ、()は全体順位
遥か彼方(94)
羅針盤(27)
夏の日、残像(1)
ワールドアパート(7)
路地裏のうさぎ(5)
バタフライ(9)
センスレス(28)
橙(2)
君という花(21)〜大洋航路
---ゴッチ弾き語り---
ソラニン(80)
ボーイズ&ガールズ(110)
---コスモスタジオ---
ウェザーリポート(50)
冷蔵庫のろくでもないジョーク(12) w/潔
---バンドセットへ---
潔のドラムソロ〜ブルートレイン(48)
ムスタング(14)
無限グライダー(38)
或る街の群青(5)
十二進法の夕景(3)
未だ見ぬ明日に(4)
迷子犬と雨のビート(30)
Re:Re:(26)
リライト(81)
転がる岩、君に朝が降る(36)
(Encore)
MAKUAKE※新曲
All right part2(75) w/ 橋本絵莉子
海岸通り(8)
(W Encore)
柳小路パラレルユニバース(157)
※初日のレポ

ASIAN KUNG-FU GENERATION「ファン感謝祭2024」の様子。(撮影:山川哲矢)

& Gt.)は潔(Dr.)が加入して25年になることを記念して、大きな花火を打ち上げることを匂わせていた
それが横浜BUNTAIで2days行われるファン感謝祭
2013年に横浜スタジアムで行われたファン感謝祭が再び開催されることに

しかし「ぼっち・ざ・ろっく!」の効果か、去年あたりからアジカンのチケットの倍率は大きく上昇し、2日目は確保できたものの、初日は確保できず
結果初日は配信で見ることになった

諸事情により自宅に到着するのがギリギリだったので、配信を見始めたのは開演ギリギリ
その際にステージが自然豊かなものであることを確認できたが、会場に流れているBGMが小さくならないままゴッチ達はステージへ
2022年のパシフィコ横浜2daysの際、カンフーにちなんでチャイナ服を着用していた気がするが、今回は全員ラフな格好での登場
銀髪っぽい、潔の髪型は目立つが

今回のライブはリクエスト制度が採用されており、一部リクエスト曲もセトリ入りしている訳だが、最初に鳴らされるのは山田(Ba.)がゴリッゴリのベースを鳴らし、先日リリースされた「Single Collection」で始めを飾っていた「遥か彼方」
アジカンの原点にして、最も聞かれている曲
「最初はやっぱりこれだよね」と思うし、

「踏み込むぜ アクセル」

はロケットスタートの合図のようだが、

「行き急いで」

のフレーズは数年前にも書いた気がするけどアジカンのスタンスをストレートに示していると思う
デビューしてしばらくしてシーンを塗り替え、その後もトップを走り続けているのだから
なおJAPAN JAMでは喜多(Gt.)が2番を歌う場面があったが、今回はなし

そのまま「羅針盤」と懐かしい曲が続くが中間発表の時点で、「羅針盤」はTOP30に入っていた
もしかしたら「羅針盤」は、「崩壊アンプリファー」の中で最上位にランクインしたことを記念して演奏されたのだろうか?(去年の「サーフ ブンガク カマクラ」のツアーでも演奏されている)

バンドを代表してゴッチが自己紹介した後、

「リクエストした曲は多く。TOP10の曲は全部やるんで。」

とTOP10入りした曲は演奏が確約されていることを話し、早速発表された第1位は喜多が自然を思わせるメロディーを奏でる「夏の日、残像」
夏に開催されることも加味して選ばれたのだと思うが、TLを見たら2013の人気投票では1位になれなかったことを悔しがるにフォロワーさんもいた(「ソラニン」に持っていかれたと話す方もいた)し、初期の曲が未だに愛されているのが凄い(同時に他のバンドだと、どの曲が1位になるのか興味深い)

順位は公表されてないものの、普段ほとんどやってないからこちらも上位にランクインしたと思われるのは「ワールドアパート」
ライブで初めて聞くと、「ワールドアパート」では潔のビートがとても力強いことを悟るが、積極的にやらない理由は「911」を揶揄した歌詞(「ビルに 虚しさが刺さって」の部分)が原因なのだろうか(LEDには戦争をイメージさせる映像も。この映像の本当の意味は翌日思い知ることになる)

「ワールドアパート」と同じく「ファンクラブ」に収録され、早くも画面四分割された「路地裏のうさぎ」も人気投票上位だったと思われる曲だが、ゴッチの声はとても良く伸びている
3年前のツアーでは「未来の欠片」をキツそうに歌っていたが、この日は絶好調
抜群なコンディションである

とはいえ、

「俺の喉にサディスティックな曲ばかり選ばれました(笑)。大丈夫、山場は超えた(笑)。」

と昔みたいに絶叫しまくる訳ではないので、初期の曲たちは今のゴッチに相当な負担を強いるもののようだし、

「感謝祭と呼ぶには暗すぎない?(笑)」

とゴッチが疑問を投げかけ、今度は「バタフライ」と「ファンクラブ」からまさかの3連投
流石にこれは驚いたが、この「バタフライ」をアジカンの目の前のでカバーしたキタニタツヤは、

「ロックとは暗いもの」

と2万字インタビューで話していた

「バタフライ」がランクインしたのは、キタニがカバーしたのも大きいと思うけど、アジカンも暗いイメージがあるのだと思われる(「Wonder Future」は尚更)

ゴッチがイントロを鳴らした途端に大きな歓声が起こる定番「センスレス(よく考えたら「ファンクラブ」から4連発。)」もまた暗いイメージであるが、途中で下手にあったミラーボールが輝き一旦の小停止を経て、潔が猛烈なドラミングを上げたあとは、

「世界中を悲しみが覆って
君に手招きしたって
僕はずっと
想いをそっと此処で歌うから
君は消さないでいてよ」

と闇を灯す歌となる

思えばパシフィコ横浜で行われたアニバーサリーライブでは「センスレス」がオープニングだった
あの時ほど、

「闇に灯を
心の奥の闇に灯を」

が刺さった瞬間も無いだろう

ここまではダークなロックが続いていたが、時代が一気に飛んで「マジックディスク」に収録されていた「橙」が大きく雰囲気を変えると、潔が4つ打ちを刻む「君という花」ではLEDにPVとPVが撮影されたであろう土地の今の風景が交互に映される
当然、

「らっせーらっせ!!」

の合唱も起こるが、

「自分の自信作」

と潔がインタビューでも話したように、今では当たり前の4つ打ちがギターロックに持ち込まれたのは当時珍しかった
アジカンの最初の分岐点は間違いなくここ
同時にシーンも変えていくことになる

お馴染み

「もう 錆びついたオール
向こう岸が見えない海でも
言う 大声で言う
引用“To be, or not to be”
大丈夫(オールライト)」

といった「大洋航路」のフレーズも最後に加えたあと、ゴッチ以外は1度ステージを去って、ゴッチは梯子を使って高い台まで登るのだが、

「ネットに「後藤がアジカンのライブで自分のコーナーをもうけてエゴ主張した」とか書かれそうだけど、そうじゃないから(笑)」

と主張したように、これはあくまで場面転換の一環
ゴッチが提案したものではないと強調しておく

というわけで1人残ったゴッチが「ソラニン」を弾き語りするも、前回1位だった「ソラニン」は今回50位圏外
こうしたリクエスト方式のライブは普段ライブでやらない曲に焦点が当たりやすい
なのでこのような現象が生じてしまったんだろうが、音がシンプルになった分情景も見えやすくなった
定期的に聞いてみたいアレンジだが、終わり際にはゴッチが敬愛するOasisの「WonderWall」のフレーズも載せる
この数日後、Oasisは活動再開することを発表するが、ゴッチは予見でもしていたのだろう

なお前回1位を「ソラニン」が獲得したことについては、

「なんで俺が書いたのが1位じゃないんだよ」

とすねてきた模様
ロックバンドが楽曲提供を受けることにあまりいい反応が無かった時代
尚更複雑だったのだろう

続けく「マーチングバンド」は情報が極限まで縛り込まれているので、ゴッチの声の強弱もよりはっきりするようになった
音が少ない分、生命力を感じるようなアレンジ
普段が背中を押すアンセムなら、こちらはゆっくり背中を押すアンセムと少し雰囲気も変わっていた

ゴッチがステージを去ると入れ替わるように登場したのは建さんと山田によるユニットであるコスモスタジオ
どうやらゴッチのソロライブや潔が参加しているPHONO TONESのオープニングアクトで登場したことがあるようだが、アジアンカンフー公式+にてセッションしたあと、山田が脱退した関係でしばらく活動が止まっていた模様(この件については2日目のレポで)
が、海外でライブしている際にゴッチに提案され緊急会議から復活を果たした模様
ここ数年どころか、2014以降に本格的にアジカンのライブを見るようになった方々には「ん?」だろう

このユニットはリズムボックスを用いるため、ドラムは打ち込みとなるが、喜多と山田のユニットならばボーカルは喜多となり、

「喜多ボーカル最上位曲!!」

と近年のアジアンワンマンでは欠かせない喜多ボーカル曲から最新にして、最高順位だった「ウェザーリポート」を

打ち込みでもなくリズムボックスを使うのは少し新鮮だが、じっくりと聞いていたいこのロックには案外リズムボックスは適していたりする
なお「ウェザーリポート」の順位は翌日判明することに

この日は潔加入25周年を祝う祭典でもあるので、潔も途中から参加するが、

「潔はアジカンを客席から見る夢があったようだけど、強引に参加させた(笑)」

と内情を暴露する喜多(笑)

ゴッチだけでなく喜多からも弄られるんかいとツッコミを心でしたが、今回の人気投票には潔がゴッチと共作した曲もランクインしており、「潔の暴れロック」こと、「冷蔵庫のろくでもないジョーク」は山田ボーカルによって再現
「それではまた、明日」のカップリングながら、ずっと演奏されてなかったので12年越しに演奏されることになったものの、戻ってきたゴッチは喜多がタイトルコールを間違えた件(「冷蔵庫の“くだらない“ジョーク」になっていたが、場内にいた客はほぼ無反応)を見逃さず、

「ジェラスだわ(笑)盛り上がってたし(笑)」

と文字通り嫉妬していた

ここからはサポートを迎えた編成となり、achico(Cho.

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& Gt.)たち4人が現れこの日も山田(Ba.)がゴリッコリのベースを鳴らす「遥か彼方」で始まるのは初日と同じ
セットリストは2日間通してあまり変化はしてないが、配信でしっかり見れなかったLEDは海原を駆け抜けていく映像になっており、「行き急いで」きたアジカンを隠喩しているようにも見える
並びに16分を刻む潔(Dr.)のビートも大きかったりと配信と生は臨場感があまりに違うし、サビに入る前にゴッチ達が手を上げるとそこで大歓声
最初から歓声は起こりまくり

中でも「羅針盤」
LEDにバンドのロゴが映されて始まったが、ゴッチたちが鳴らすサウンドスケープはNUMBER GIRLやeastern youthそのもの
アジカンがこの両者の影響を受けているのは有名な話だが、「羅針盤」を生で体験するとよりそう思う

前日同様、ゴッチがリクエストTOP10の曲はやることを確約し、そのリクエスト1位である「夏の日、残像」を早速やるが、4人の中でも一際動く喜多(Gt.)が時に優しく、時に力強いメロディーを奏でる
横浜スタジアムで行われた前回のリクエストでは「ソラニン」か1位となり、こちらは22位となったが、今回は1位
夏風を感じるようなこのメロディーはいつまでも色褪せないだろう

そこからの「ワールドアパート」は落差が凄まじいと思うが、LEDには戦争を彷彿させる映像やアメリカを示唆するような地図の映像が映る
どう見てもこれは戦争や911を連想させるものだし、

「遠く向こうで
ビルに虚しさが刺さって」

とゴッチが叫ぶ様子は現実を突きつけられる

自分は貿易センタービルの近くを幼少期に訪れたことがある
だから911の映像を今でも覚えているが、そこからテロも戦争も収まる気配はないし、日本政府は戦争をやる気満々
しかし核武装は全く意味をなさない
むしろ対立を煽るだけである(自分が昔読んだ小説にもそのことがはっきり明記されていた)
戦争が無くなる革命が起こるのはいつになるのだろう
テロも戦争も戦争を誘発する行為も絶対に許してはならない

山田と潔が絶妙なグルーヴを築き、ゴッチのハイトーンボイスが冴え渡る「路地裏のうさぎ」と、前日同様「ファンクラブ」収録曲ラッシュに入る最中、

「みんなの顔を見ると「これやってくれている!」な反応しているのが、分かるけど俺の喉への負担が激しい曲ばかり選ばれている(笑)」

と悲鳴を述べるゴッチ
昔は叫びまくる曲が多かった分、今その頃の曲をやるのは喉に大きく負荷をかけてしまうのは分かるが、

「昨年くらいから右腕が上がりにくくなっていたんだけど、ここ最近はそんなことない。今日絶好調です。」

とコンディションが良いことをアピール
実際序盤からゴッチの声はかなり伸びている印象である

キタニタツヤのカバーで再注目されたであろうダークなロックこと「バタフライ(恐らくキタニは「ファンクラブ」をアジカンで1番好んでいそうな気がする)」は、バタフライエフェクトを示唆するように、LEDの映像が幾つも重なる中、お馴染みの「センスレス」は潔の4つ打ちを筆頭に踊らせまくり
思えば2014年のロッキンで初めて生で聞いて、そこから「センスレス」を好むようになったが、途中でミラーボールが輝き、

「世界中を悲しみが覆って
君に手招きしたって
僕はずっと
想いをそっと此処で歌うから
君は消さないでいてよ」

に入る前には大歓声

サイケデリックなロックから夜明けが訪れたかのように加速するラストは、「ファンクラブ」のトンネルを次へと繋ぐ橋渡しのような役割をしている気がした

「ファンクラブ」収録曲がもたらしたダークな雰囲気を「マジックディスク」に収録され、喜多かキャッチーなメロを鳴らすパワーポップな「橙」が浄化したあと、潔の4つ打ちを起点とする「君という花」は奇妙なダンサーが現れるあのPVが映っただけで大歓声
サビの前には山田が軽く飛び跳ね、

「らっせーらっせ!!」

の合唱が起こったあと、喜多が気持ち良さそうにギターソロを弾いたり、「Yeah!Yeah!!」に合わせて客席から手が上がったりと終始良い雰囲気
この日も「大洋航路」の

「もう 錆びついたオール
向こう岸が見えない海でも
言う 大声で言う
引用“To be, or not to be”
大丈夫(オールライト)」

が引用されたが、潔が取り入れたディスコビートが注目され、シーンにも影響を与える曲となったのは周知の通り
このおかげでここまでこれた

前日同様ゴッチ以外はステージを去り、ゴッチは梯子を使用して台の上に登っていくも、

「「後藤ってエゴスティックな一面あるから。ステージが自然溢れているから、自然の中で歌いたいと思ったんだろ!!」って訳じゃないからね(笑)」

とやっぱりこの日も自虐
これは場面転換の一環であるが、

「俺静岡の高校の出身なんだけど、その時は音楽やってなくて大学入ってから始めたのよ。だから同級生は「う~ん」って感じ。大学入ってから夜に1人、こんな感じで練習していた。」

と河川敷の上という設定の台の上で「ソラニン」を弾き語り

ゴッチたち4人が出会った大学といえば関東学院大学
ゴッチの大学時代は、こんな感じで自宅で練習していたのだろうか

「後藤くんは歌詞がいい。って言われたのに、10年前は俺が作ってない「ソラニン」が1位。」

と前回の人気投票で「ソラニン」が1位だったことは今もなお気にしているようだが、

「これからも色んなところでやっていきますよ。」

と「ソラニン」はこれからも演奏されていく

前日「マーチングバンド」だった箇所は、「ボーイズ&ガールズ」に変更
ここでセトリに変化が出たため、2日目共通セトリではないことが判明したが、元々「ボーイズ&ガールズ」はバラードなので弾き語りはとても映えるし、

「何かが正しい 僕らに相応しいこと 見つけて
それをギュッと握りしめて
嗚呼 いつか老いぼれてしまっても 捨てずに
新しい扉を開こうか
We've got nothing」

といったメッセージはより心を打つようになった
まだ始まったばかり
終わったわけではない

ゴッチがステージから去ると、今度は喜多と山田がそれぞれ両サイドから現れるコスモスタジオに
このコスモスタジオがオープニングアクト用のユニットであることは、前日のレポでも触れたと思うが、

「俺はオープニングアクト専門って感じで始めたんだけど、山ちゃんがオリジナル曲を作ろうとしちゃって。「違う、そうじゃない」って感じ。そうしたこともあって、一度山ちゃん脱退した(笑)」

と1度ユニットが止まってしまったのは、喜多と山田でユニットに対する考え方が異なったからとのこと
むしろ山田が作ろうとしたオリジナル曲をアジカンでやって欲しいが

喜多ボーカル曲から最高位を獲得した「ウェザーリポート」は、この日もリズムボックスを用いて演奏されるが、
どうやら総合順位は50位
前回は「嘘とワンダーランド」が30位でランクインしたが、今回はそのような大躍進を起こせず

一方ここで合流した潔は、

「潔はステージ立つのを嫌がっていたけど、無理して上がってもらった(笑)」

とやはり、強引にステージに立たされているようで、メタルが好きな潔らしい一面が出ている「冷蔵庫のろくでもないジョーク」を山田ボーカルで行い、今後のライブでも出来る可能性を示したが、戻ってきたゴッチは、

「潔、ステージに上る直前にメール送信してた(笑)。そこまでしてステージに上がりたくないのか(笑)」

と舞台裏を暴露していた

achico(Cho.


アジカンのファン感謝祭で結成28年目の「MAKUAKE」を見た

サービス精神旺盛すぎる11年ぶりの「ファン感謝祭」は、「海岸通り」で穏やかな余韻を残しつつフィナーレへと向かっていく。心地いいフィードバックノイズが響く中で出演者全員が肩を組み、オーディエンスへの感謝の思いを伝えたあとは終演のアナウンスが流れる……本来はその予定だったが、拍手が鳴り止まずアジカンの4人はAchicoとGeorgeを伴って三度ステージへ。メンバーは「ここからはチケット代に含まれておりません」とうそぶきながらも、ダブルアンコールの発生に喜びを隠せない。そんな4人がラストナンバーとして選んだのは「少しずつ影が背を伸ばしても まだまだ終わりじゃないさ」と繰り返す「柳小路パラレルユニバース」。人生の折り返し地点を迎えてもなお、ロックバンドとして音楽を届け続ける意志を示す1曲を丁寧に奏で、「ファン感謝祭」を晴やかに締めくくった。

AKG セットリスト”ファン感謝祭 2024”@横浜BUNTAI Day1

from MOP of HEAD)といったお馴染みの面子が合流
そこからメンバー紹介を行い、

「一時期脱退して、最前でライブ見ていた時期もあったけど、こいつがいなければここまで続けてこれなかった。」

と潔に賛辞を送り、潔のドラムソロを皮切りに音像が一気に増した「ブルートレイン(Georgeの鍵盤が加わることで少しニューウェーブっぽい感じになった?ちなみに横浜BUNTAIの最寄り駅である関内に止まる横浜市営地下鉄はブルーライン)」で、喜多が電車を連想させるようなリフを鳴らしながら、潔の巧みドラムテクが発揮されていくと、前半こそゆったりと進んでいきながらも後半になるに連れて感情を爆発させる「ムスタング」と定番曲とリクエスト上位に選出されたレア曲が上手く散りばめられた感じに
LEDにはPVも流れており、ノスタルジーに浸っている方も多くいたと思われる

近年は積極的に演奏されている「無限グライダー」で潔がタイトなドラムを見せつつ、広大な草原をイメージさせるメロディーを喜多が奏でる中、「或る街の群青」はGeorgeの鍵盤が壮大なストリングスで彩るようなアレンジに
Georgeが参加する編成で聞くのは初めてだったので、「こんな大胆に変えるのか」と配信を見ながら驚いたし、リクエスト中間発表では5位
これはリクエスト選曲と思われる

そのリクエストで最終結果が3位であることを明言された「十二進法の夕景」では、後ろにSTEINS;GATEを連想させるダイバージェンスメーターも現れるが、時間が経つに連れて手数が増える潔のビートは圧巻だし、歌うような山田のベースラインも、喜多の鳴らすギターやゴッチ歌唱はとてもエモーショナルだ
3年前のアニバーサリーツアーで聞いたときもそうだったけど、これは心を毎回鷲掴みに去れてしまう

喜多の泣きメロが炸裂し、

「そうだ 未だ見ぬ明日を
どんな悲しい最期が待ち受けていようとも
それを「希望」と呼ぼう」

と明日への希望を込めたであろう「未だ見ぬ明日に(中間で4位だったことを踏まえると、これもリクエスト枠)」を経て、ゴッチが

「チェッ チェック 1、2」

と確認してから入る「迷子犬と雨のビート」でGeorgeが陽気なホーンを鍵盤から出した後、

「生きて行こう」

と背中を押したあと、今では完全に定番となっている「Re:Re:」になだれ込んで行くが、「Re:Re:」を取り巻く状況はこの数週間で大きく変わった
なぜならアジカンの再評価に大きく貢献した「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇場総集編主題歌としてカバーされたからである
数年前に「僕だけがいない街」の主題歌、ならびに「ソルファ」の再録版への先行シングルとして再録された際に再注目されたけど、8年の時をかけて再びピックアップされる
凄まじい運命を歩んでいる曲だと思う
ぼざろの方はぼっちちゃんこと、後藤ひとりのCVを務める青山吉能がカバーしたので、ぼっちちゃんから結束バンドのメンバー全員に向けての曲となった
逆にファン感謝祭に現地で参加した方、ならびに配信で参加している方には

「君がいないとさ!!」

とアジカンを指している曲になっているだろう
アジカンがいない人生なんて考えるだけで恐ろしい

そしてフェスでは演奏されるものの、ワンマンでは必ず演奏されると限らない「リライト」はフェスやイベントと比較すると、コールアンドレスポンスは控え目
再録音源と同じくらいのしゃくで終わるが、普段はコーラスしない喜多もマイクに向かってコーラスを載せていたような気がした
客席からのコールアンドレスポンスに全身全霊を頂いてしまったのだろうか

「俺たちはスーパーマンじゃないけど、4人でしか出来ないことがある。あと10年は少なくとも続けたいと思います」

と超人ではないものの、4人だから出来ることがかると信じ、更に10年近くは転がり続けることを約束し、本編最後が「転がる石〜」になったのは、「ぼっち・ざ・ろっく!」の影響だろうか
ゴッチが厳しい現実を生き抜くために作った曲は、長い歳月を経て多くの人に愛される歌となった
これからも何を失うかは分からないけど、凍てつく世界を転がるように走り出して本編は終わるが、この翌日は別の感情を抱くことになる

アンコールではまず、ゴッチが先日立ち上げた藤枝市内に音楽スタジオを建てるクラウドファンディングについての説明があったが、これは2日目のレポで詳しく触れるので割愛(というかアーカイブが31まで見れると思うので、そちらを見たほうが分かりやすい。なお値段は3000前後!!)

そのうえで喜多達が戻って来ると新曲「MAKUAKE」を披露
まだ音源化は決まってないようだが、配信で聞いた際には、

「暗い闇を振り返らずに 朝日が昇る頃だね」

とポジティブなフレーズが印象に残った
ここからまたアジカンが始まる
そんな感じの曲

ライブハウスでやってきた頃を想起するMCをゴッチが行ったあとは、ゴッチ達が次々と走り回るPVが記憶によく残り、山田がゴリッゴリのベースを鳴らす「夜のコール(中間投票では11位、なのでかなり良い位置にいたと思われる)」が演奏されるが、

「言葉にすれば遠く いつからか臆病になった
想うだけではきっと 僕は何処へも行けないの」

は儚いが、

「言葉だけでは遠く
それでも また詩を詠んで
凍えきった君を乗せて ベッドルームから一歩
別世界に連れ出したいから」

という誓いの通り、沢山の人々をアジカンは連れ出したと思う
連れ出されたあとのその先は君のものだ

それが後続バンドに受け継がれるどころか、今ではサブカルチャーにも繋がった
この願いは間違いなく現実になった

そしてラストはGeorgeが鍵盤でストリングスを担い、これからも花が舞ってくことを暗喩したように「海岸通り」

横浜BUNTAIがある関内は月に1回は必ず訪れるほど身近な街で、自分の地元からすぐに行ける(神奈川県民ホールが来年からしばらく閉鎖されることから神奈川でアジカンがワンマンするなら、しばらくここになる)
だから両日参加したかったけど、セトリが変わる可能性も加味して見た初日は配信で見た

結果、ゴッチの弾き語りもコスモスタジオによる演奏も、フルセットの演奏もありまさにアジアンファンにはたまらない2時間半だったと言える
10年どころか、もっと続けてほしいと思った

この翌日は現地で見ることになるが、その際には違った感情を抱くことになる

セトリ
遥か彼方
羅針盤
夏の日、残像
ワールドアパート
路地裏のうさぎ
バタフライ
センスレス

君という花〜大洋航路
---ゴッチ弾き語り---
ソラニン〜Wonderwall(Oasisのカバー)
マーチングバンド
---コスモスタジオ---
ウェザーリポート
冷蔵庫のろくでもないジョーク w/潔※山田ボーカル
潔のドラムソロ〜ブルートレイン
ムスタング
無限グライダー
或る街の群青
十二進法の夕景
未だ見ぬ明日に
迷子犬と雨のビート
Re:Re:
リライト
転がる岩、君に朝が降る
(Encore)
MAKUAKE※新曲
夜のコール
海岸通り

”アジカンファン感謝祭2024 in横浜BUNTAIレポ” by Hacchi

アンコールで後藤は自身が創立した、インディペンデントに活動するミュージシャンやアーティストに対して金銭的、技術的な支援を行うNPO法人「APPLE VINEGAR -Music Support-」を紹介し、スタジオ設立に向けてのサポートを呼びかける。そして、「この人たちがいなかったら、私の人生はなかったと言っても過言ではない」とメンバーをステージに呼び込み、“アジカンの新しい10年”にふさわしい鷹揚な新曲「MAKUAKE」をオーディエンスにプレゼント。さらに、アジカンと同じ時代を駆け抜け、日本のロックシーンの流れを変えた“戦友”である(チャットモンチー済)を迎え、「All right part2」をデュエットするこの日限りのコラボレーションも披露した。

Anniversary Special Live ファン感謝祭2024

2023年にメジャー・デビュー20周年を迎えたASIAN KUNG-FU GENERATION。伊地知潔(Dr)がASIAN KUNG-FU GENERATIONへの正式加入から今年で25周年となることも合わせ、8月24日、25日の2日間、横浜BUNTAIにてアニバーサリー公演の開催が決定した。

"ファン感謝祭2024"と題された本公演では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの音楽活動を長く応援してきてくれたファンへの感謝を込めて、ファンが聴きたいベスト・セット・ライヴを開催。も公開となり、ライヴ当日に演奏してほしい楽曲の投票受付も開始されたので、ライヴで聴きたいベスト・ソングをぜひ投票してほしい。

なおチケットはオフィシャル先行予約の受付が開始。公演詳細、今後のチケット先行などの最新情報は特設サイトにて随時発表されるとのこと。