石油はドルでしか買えない。この構造が、いわばドルを「石油兌換紙幣」に変えた。この実態から「ペトロダラー」とも呼ばれる。
中国は08年のリーマン・ショックの後、中央銀行の人民銀行総裁がドル基軸通貨体制に異議をとなえ、外貨準備としてドルをためこむ従来の方針を転換。18年には人民元建ての原油の先物市場を上海につくった。
食糧・資源問題研究所の柴田明夫代表によれば、その規模は、「世界の原油生産量の内の半分がドル建てで輸出されると見ると全産油国の石油輸出収入、すなわち“ペトロダラー”の規模は8000億ドル以上。世界の石油輸出量の4割強は石油輸出国機構(OPEC)だから、原油価格が90ドルを超えた11~13年のOPECの石油収入は1兆ドルを超えていた」と試算する。これだけ巨額のドル需要があれば、為替市場で極端なドルの下落は起こりにくい。
ロシアが仕掛けた通貨戦争は、このドルの特権を維持するペトロダラー体制に風穴を開ける可能性がある。
世界経済の不均衡はドルと石油を抜きに語れない。 石油消費国2位の中国は ..
この中東の「ドル離れ」はおさえられたものの、その後に「脱ドル支配」の動きを強めたのが中国とロシアだ。
ロシアも石油や天然ガスの代金をドルで受け取ることが多かったが、ドルを減らして人民元やルーブル、ユーロの割合を増やしている。蓮見教授は「制裁でSWIFTから締め出されたロシアはこれまで以上に人民元決済やルーブル決済を増やそうとするだろう」とみる。
この強固なペトロダラー体制に、かすかな揺らぎを感じ取っていたのが、国際通貨研究所の渡辺博史理事長(73)だ。2004~07年の財務官時代、中東の湾岸協力会議(GCC)6カ国が、ユーロのような共通通貨の導入を検討していた。「米国はサウジに『共通通貨には反対しないが、原油価格をドル建て以外にすることには徹底的に反対する』と通告していた」。中東の産油国がドル以外の通貨で原油取引をするようになれば、ペトロダラー体制が崩れかねないと懸念したのではないか――。
さらに、今回の対ロシア制裁が「ドル離れ」を加速させるだけでなく、ロシアや中国、中東諸国と、欧米などの西側諸国に世界を分断すると、柴田さんは予想する。「ロシアなどが保有する石油やレアメタル、小麦、肥料といった重要資源の取引で使われる通貨はドルにかわって人民元となるだろう。それは、ペトロダラー体制によるドル支配から、重要資源・人民元体制への移行を意味する」
現在の原油価格は、ドルベースでは第一次・第二次石油危機以上の水準であるが ..
原油価格の国際的な指標はすべてドル表示だ。米ニューヨーク商業取引所で取引される「WTI」はもちろん、欧州産の「北海ブレント」や中東産の「ドバイ」も価格はドル建てで、それが原油の売買をドルでおこなう理由の一つになっている。
の、原油市場への投資マネーの滞留が油価の下落余地を限定的なものに留
先日の「総合経済対策」(2024年11月22日、閣議決定)で、「ガソリン補助金」は、規模縮小の上、継続と決まった。併せて、「ガソリン減税」については自動車関係諸税全体の見直しに向けて、検討とされた。補助金縮小で、ガソリン等の石油製品価格は、12月と1月に、5円/ℓ程度ずつ2段階で値上がりすることになる。
レルとした場合,石油価格の差による利益減少額は約5億2,500万ドル程度でしかなく,上記利益
資本取引を規制する人民元や、国際通貨ではないインドルピーが一足飛びにドルに匹敵する国際決済通貨になる可能性は極めて小さいが、国際通貨の歴史に詳しいシグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミストは、3月24日に国際通貨基金(IMF)が公表した米経済史の泰斗アイケングリーン氏らのリポート「ドル支配のステルス(見えない)侵食」に着目する。
1973年12月8日号「石油危機のすべて!!!」 PDFダウンロードページはこちら(有料会員限定)
米国は71年の「ニクソン・ショック」でドルと金の交換を停止。基軸通貨ドルは金の裏付けを失ったが、かわりに原油の裏付けがつくようになった。80年代、米国は貿易赤字と財政赤字の「双子の赤字」に苦しみながらも、ペトロダラーの再循環によって支えられた。「米国の通貨覇権の背景には、米国の経済力と軍事力とともに、このペトロダラー体制がある」と柴田さんは指摘する。
は、原油価格は 1 バレル 25 ドルであったとして、100 ドル
グローバル化によって国をまたがるモノの売り買いに使われるドルの存在感は高まり、米国の「ドルを使わせない」という制裁も力を増した。逆に制裁がドル離れを加速させ、ドルでつながったグローバル化の鎖が断ち切られようとしている。グローバル化を推し進めた西側諸国はいま、「両刃の剣」を突きつけられている。
2000 年に入って原油価格高騰が持続し、30 ドルを大きく上回るようになると、石油消費 ..
米国は、1971年に金・ドル交換を停止し(ニクソン・ショック)、変動相場制に移行した際、ドルの国際基軸通貨としての地位を維持するために、サウジアラビアに対し原油価格の引き上げを認める一方、あらゆる国が必要とする石油(ペトロ)をドルのみで取引する体制を構築してきた。
ざり物が多い関係で、日本など石油精製技術が非常に高い、ローコストで石油精製ができ
本稿では、わが国の物価対策として、今後の展開が注目される、「燃料油補助金」を中心に、「トリガー条項」の凍結解除、「旧暫定税率」等について、解説するとともに、補助金終了後には、わが国石油製品価格に大きな影響を与えるであろう、今後の原油価格について、米国大統領選挙を踏まえ、考えてみたい。
問題は、補助金終了時点のドル建て原油価格、為替レートの水準である。現状 ..
「石油取引の通貨をドルに一元化することで、サウジアラビアなど産油国が石油を売って得たドルで米国債を買う再循環が構築された。1973年のオイルショック後、米国がサウジに原油価格の引き上げを認める一方、取引はドルでするよう求めた。そうしてペトロダラー体制が生まれた」
石油はドルでしか買えない、だからアメリカは強か った いつか人民元の時代が来る?:朝日新聞GLO..
2023年秋から、ガソリン・灯油・軽油・重油等の石油製品の国内価格は、ほぼ横ばい、安定を続けてきた。ガソリン小売価格(全国平均、資源エネルギー庁調査)は、政府目標価格である175円/ℓ前後の水準で推移している。確かに、補助金支給開始(2022年1月)以前、ウクライナ戦争開戦(2022年2月)以前の水準と比べると高止まりではあるが、安定的である。いわゆるガソリン補助金「燃料油価格激変緩和補助金」の効果である。補助金がなければ、12月第1週には191.1円/ℓ(資源エネルギー庁ガソリン予想価格)程度になっていると見られる。
[PDF] 米国における石油ガス産業の 脱炭素への取り組み状況
「オイルマネー」という言葉にそもそも厳密な定義は存在しませんが、一般的に、産油国が原油輸出によって得た資金のことを広義のオイルマネーと呼び、そのうち産油国政府による経常的な支出や開発投資などを差し引いて残った資金、つまり外国などへの投資が可能な資金のことを狭義のオイルマネーと呼んでいます。
また、日本では「オイルマネー」ですが、欧米では主に「ペトロダラー(Petrodollar)」と呼んでいます。ダラーとはドルのことであり、原油取引がドル建てで行われることに由来します。それでは原油取引はなぜドル建てなのでしょうか。
実は、原油取引がドル建てでなければならないという国際的な取り決めのようなものはありません。原油取引の歴史的な経緯を背景に、慣習上、ドル建てでの取引となっているだけなのです。歴史的な背景としては、①1960年代までは米国を筆頭としたメジャーズ(総合石油会社)が原油取引を支配していたこと、②80年代前半に原油取引のスポット取引が拡大するとともに、価格変動のリスク回避のために先物取引も始まり、その先物市場に主として米国市場が利用されたこと、などがあげられます。また、③世界最大の石油消費国が米国であることも要因と考えられます。
[PDF] カスピ海産油国の石油依存脱却と 産業多角化への取り組み
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、それに対抗する経済制裁。世界を一つにしようとグローバル化を推し進めてきた欧米諸国による制裁が、分断へと歯車を逆回転させています。制裁という「剣」を突きつけられているのは、グローバル化の方かもしれません。ロシアマネーが流れ込むアラブ首長国連邦(UAE)、長年制裁下にあり「ロシアの先を行く」と言われるイラン、ウクライナ侵攻後に変化が起きたアメリカ・テキサス州の油田など現場を歩きました。(イラストは上林哲史氏。7月3日から順次配信します)
1月3日の米WTI原油先物価格は1バレル=64ドル台に急騰、昨年9月のサウジアラビア石油施設攻撃直後の高値(63ドル後半)を超えた。 ..
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、それに対抗する経済制裁。世界を一つにしようとグローバル化を推し進めてきた欧米諸国による制裁が、分断へと歯車を逆回転させています。制裁という「剣」を突きつけられているのは、グローバル化の方かもしれません。ロシアマネーが流れ込むアラブ首長国連邦(UAE)、長年制裁下にあり「ロシアの先を行く」と言われるイラン、ウクライナ侵攻後に変化が起きたアメリカ・テキサス州の油田など現場を歩きました。(イラストは上林哲史氏。7月3日から順次配信します)
原油、夏場に高値50ドル見通し JOGMEC 野神氏・関本氏に聞く
ロシアが産出する資源は天然ガスや石油、石炭にとどまらず小麦や肥料、鉄鋼製品、アルミニウム、ニッケルなど多岐にわたり、それぞれ世界シェアで上位を占める。ロシアの資源なしの世界のグローバルサプライチェーンは成り立たないとさえいえる。