急速に進む円安修正~今後のシナリオを展望する | ニッセイ基礎研究所


次に、「今後想定されるドル円価格シナリオを、就任日から任期終了までについて予測してください」とAIに指示したところ、基本シナリオとして強いドル・弱い円の展開が示され、政権移行期(2025年1~6月)では145~155円、政策実行初期(2025年後半~2026年)では150~165円、政策効果の本格化(2027年)では160~175円、政策定着期(2028年~2029年初)では165~180円という段階的な円安進行が予測された(図表2)。この予測には、法人税引き下げによる米国企業の収益改善、包括的関税措置の導入による輸入物価上昇、製造業の国内回帰、日米金利差の拡大などが要因として挙げられている。


さらに、AIに「想定外シナリオについて就任日から任期終了までの予測を示してください」と指示したところ、AIは2つの極端なケースを提示した(図表3)。1つは「急激な円高シナリオ」で、米国の政治・経済の不安定化によるドル売りとリスク回避の円買いが同時進行するケースである。もう1つは「超円安シナリオ」で、市場の過剰反応による円売りの加速や日米の金融政策の乖離拡大が要因となるケースである。

まず、「トランプ氏の経済政策についての発言をまとめてください」とAIに指示したところ、税制政策では法人税改革として国内生産企業の法人税率を21%から15%に引き下げ、2017年の減税措置の恒久化、チップ収入や社会保障給付への課税廃止が提案された(図表1)。個人向け減税としては、所得税の最高税率引き下げの継続、残業代への課税廃止、州・地方税の税額控除の見直しが示された。貿易・関税政策では、全輸入品に対して10~20%の一律関税導入、中国からの輸入品に60%以上の関税、メキシコからの自動車輸入に200%の関税を検討という強硬な包括的関税措置が提示された。エネルギー政策については、石油・天然ガスの国内掘削の大幅拡大、エネルギーコストと電気料金の1年以内での半減、パリ協定からの再度離脱方針が明らかにされた。製造業政策では、国内回帰促進として連邦所有地への低規制製造特区設置、研究開発税制控除の拡充、国内生産企業への優遇措置強化が提案されている。

12月17日(火)当面のドル円相場見通し【注目!投資ストラテジー】

まず、トランプ氏の経済政策に関する主要な発言を分析し、その政策方針を明確化する。次に、これらの政策が実行された場合の「想定内シナリオ」におけるドル円相場への影響を、金融政策、財政政策、通商政策の観点から分析する。続いて、予期せぬ事態が発生した場合の「想定外シナリオ」について、地政学的リスクや国際金融市場の急激な変動などを考慮した分析を行う。最後に、各シナリオの発生確率をAIモデルによって算出し、より現実的な予測の提示を目指す。なお、本分析ではLLMの特性を活かし、膨大な過去データと最新の市場動向を組み合わせることで、より精度の高い予測の実現を図っている。

円高シナリオでは、政治的混乱による市場パニックや米国債市場での売り圧力から政権移行期で120~130円まで進行し、世界貿易の縮小や米国債格付け引き下げにより2029年初には90~105円に達すると予測。一方、超円安シナリオでは、極端な保護主義政策期待や日銀の金融緩和維持により政権移行期で160~180円まで進行し、対日貿易制裁や日本からの資本逃避を経て、2029年初には金融システムへの信認崩壊により250円以上も視野に入るとの分析が示された。

トランプ氏の2025年から2029年の大統領任期におけるドル円相場の予測について、以下の分析フレームワークで検討を行う。本分析では、大規模言語モデル(LLM)を活用し、トランプ氏の過去の発言や政策、現在の経済状況、そして将来の不確実性を考慮した包括的な予測を試みる。

本レポートでは、最新のAI技術を活用し、トランプ政権下でのドル円相場の行方を分析する。具体的には、経済指標、金融政策、地政学的リスクなど、様々な要因を考慮しながら、複数のシナリオにもとづきドル円相場を予測する。そしてこの分析を通じて、今後の為替動向に対する新たな知見を得ることを試みる。


【日経】円ドル相場・人民元相場など為替の最新ニュース、債券市場の最新動向をお届けします。

この政治的転換を受けて、為替市場は早くも反応を示している。東京外国為替市場では、トランプ氏の勝利を受けて急激な円安ドル高が進行し、11月6日には1ドル151円台から一時154円台前半まで上昇、約3カ月ぶりの円安水準を記録した。新たなトランプ政権に市場は敏感に反応している。

ドル円 160円突破!AIは今後のドル円相場をどう予測するのか

トランプ大統領の就任に伴い、経済、金融、外交といった様々な分野で大きな政策転換が予想される。前回のトランプ政権時には、保護主義的な通商政策やトランプ流外交により、為替市場が大きく揺さぶられた。再び同様の政策が採用された場合、現在の為替相場にどのような影響を及ぼすのか。

米ドル/円(USDJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

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レバレッジドファンドはドル円相場に対し強気に転じ、今後数カ月で最大5%の上昇を見越したポジションの設定を急いでいる。

本分析では、AIを活用してトランプ政権下での為替予測を試みたが、以下のような示唆が得られた。第一に、AIは過去のデータや現状分析にもとづいて論理的な予測を提示できる一方で、為替市場特有の「センチメント」や「期待」といった定性的要因の織り込みには限界がある。これはLLMが基本的に過去のデータのパターンにもとづいて予測を行うため、予期せぬ出来事や市場心理の急激な変化への対応が難しいことに起因する。また、学習データにバイアスが含まれている場合、予測結果にもバイアスが生じる可能性があるため、結果の解釈には注意が必要である。特に、トランプ氏の予期せぬ発言や政策変更による市場心理への影響は、AIモデルでは予測が困難である。

主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。

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ドル円相場、下半期大荒れ 1%超の騰落続出 2025年の見通しは?

今年最後の「アナリストレポート」になります。筆者にとって2024年の最大のサプライズは「米大統領選でのトランプ氏の勝利」でした。ただ、今冷静に考えてみると、まずバイデン氏ではさすがにあの年齢を考えると、さらに4年間の大統領職務をこなすのは無理だったのかもしれません。また、最後の最後に自身の次男に大統領権限を最大限に利用し「恩赦」を与えたことなど、筆者の中ではバイデン氏に対する評価も相当下がりました。何はともあれ、好き嫌いはあってもこれから4年間、トランプ言動に大きく左右されることになります。合衆国憲法を変えない限り第三次政権はありませんが、次に狙っているのは「ノーベル平和賞」との観測もあります。良いお年を・・・・・。

【NHK】先月初めは1ドル=161円台だった円相場。これが1か月近くで10円余り円高ドル安が進み、一時1ドル=148円台に(8月1…

第三に、想定外シナリオについては、AIが極端な市場変動の可能性を示唆している点が注目される。特に円高・超円安の両極端なシナリオを提示したのは、現在の国際金融市場が抱える構造的な脆弱性をAIが認識しているためだろう。

ドル円 クリスマスで動きが出にくい年末相場(週報12月第4週)

日銀は26日、今後も利上げを続けた場合に日銀の収益にどのような影響が出るのかといった試算結果を発表しました。それによると、短期金利を2%まで引き上げた条件下では、2027~28年度ごろには最大で2兆円規模の最終赤字が発生するが、赤字は短期的との試算でした。ただ現実的には、短期金利が2%まで上昇する金融環境は極めて想像し難く、仮にそこまで短期金利が上昇しているようだと、インフレ率が大幅に上昇していることになります。日本の短期金利が2%を超えたことなど、1990年以降一度もなかったと記憶しています。

先週のドル円はタカ派のFRB、ハト派の日銀の対比からドル高・円安が進行する一週間となりました。

FRBによる利下げペースの鈍化も予想されていますが、昨日発表された「週間失業保険申請件数」では、申請件数は減少していましたが、継続受給者数が予想を上回る「191万件人」と、約3年ぶりの高水準でした。これは、失業者が仕事を見つけるまでの期間が長期化していることを示唆しており、失業者の再就職難を示す他のデータと整合しています。先週のFOMC会合後の会見で、パウエル議長が「労働市場は依然として堅調な状態にある」と述べていた言葉とはやや異にしています。ただ現時点では、これが労働市場に黄信号が点滅していることを示唆するものとは判断できませんが、これが仮にそうだとしたら、2025年では2回と示された利下げ回数が再び増えることにつながります。年明け以降も注視して行く必要はありそうです。

なぜ円安? どうなるドル/円、今夜のFOMCのポイントはここ!

以上を踏まえると、AIによる為替予測は有用な分析ツールとして一定程度活用できるものの、予測精度にはいまだ問題を抱えるといえる。そのため、人間の判断や経験則と組み合わせて活用する必要があることに変わりはない。今後は、AIの予測精度向上とともに、より多角的な分析アプローチの開発が期待される。

25日の欧米外為市場では、欧米主要市場がクリスマス休場となることから、ドル・円を含めた主要通貨の為替取引は動意薄となりそうだ。

今週25日(水)に行われた植田総裁の講演では、先の決定会合の会見では予想外の「ハト派」発言でドル円が大きく上昇したこともあり、どの程度「調整」があるのか注目していましたが、結局内容的には変化ありませんでした。総裁は、「経済・物価情勢の改善が続いていけば、それに応じて、政策金利を上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、具体的なタイミングについては、「今後の経済・物価・金融情勢次第だ」と明言は避けました。さらに総裁は「特に、米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性は大きい」と、説明しています。筆者は、トランプ政権が始動し政策が実施されれば、米金利の上昇圧力が増し、それに呼応するかのように円が売られる展開を予想しています。そうなると、為替面から日本の物価にも上昇圧力がかかり、大幅な円安を避けるという意味合いからも、1月会合での追加利上げが実施されるのではと予想しています。この予想は、現時点では市場のコンセンサスとは相容れないかもしれませんが、一部で指摘されているように、「日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っている」との評価を払拭する意味からも、1月会合での追加利上げの可能性があるとみていますが、どうでしょう。