裏切り続ける円、25年こそ反発とストラテジスト予想-金利差縮小


2025年の1年間を通して12月FOMC(米連邦公開市場委員会)で示されたドットプロットでは米国が0.5%の利下げ見通しと大きく上方修正されました。一方で、日銀会合はハト派な内容となり春闘後に0.25%の利上げが行われる程度という見方がコンセンサスとなってきました。つまり日米金利差は今後1年かけて0.75%しか縮小しないという見方が固まりつつあり、このことが現在の米ドル買い材料の最大の要因になっていると言えます


2025年に向けて、円安基調は当面継続する見通しです。日本経済の構造的な問題により、短期的な解決は困難であり、アメリカ経済の優位性も継続する見込みです。 特に、日本の金融政策は国債問題により制約を受けており、金利政策による円安是正は困難な状況です。また、少子高齢化による労働力不足や対外投資の流出など、構造的な問題も円安圧力となっています。
円安から脱却するためには、金融政策だけでなく、経済構造全体にわたる抜本的な改革が必要とされています。特に、国内投資の促進と人材確保が重要な課題となっています。長期的には、移民政策の見直しや産業構造の改革など、より包括的な対策が求められています。

※上記の見通しは、2024年12月時点の分析に基づいています。今後の政策動向や世界経済の変化により、予測が変更される可能性もあることに留意が必要です。また、地政学的リスクや予期せぬ経済ショックなど、様々な不確実性要因も存在することを考慮する必要があります。

➢ 円は日米金融政策の方向差から 7-9 月期に強含む場面がみられるも、総じて弱かった

外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

また1月20日にトランプ氏が大統領に就任し早い段階で公約の実現に動くと見られます。法人減税は米企業にとって好材料であり、そのことが海外の投資家から米企業への株式投資に動く材料となり、米株高は米ドル高の材料となります。しかし、日米金利差縮小傾向の鈍化も米国株高も既に織り込まれており、今後は2021年1月から4年続いた米ドル高の動きを止める材料探しに目が向く可能性が高いと考えています。

米国がインフレ懸念から利上げを開始した2022年3月以降、米金利の動向が為替相場に与える影響が大きくなってきました。米ドル/円相場で言えば米10年債と日本10年債との利回り差との相関係数が直近では日足ベースでも週足ベースでも0.9を超えていてほとんど同じ動きと言ってもよい状態です。

●2025年末の10年国債利回りは米国で4.3、日本で1.4を予想、利回り格差は縮小方向。


【為替】2025年の米ドル/円を予想する | 吉田恒の為替デイリー

円安対策として、金利政策による短期的な解決は難しい状況です。中長期的な対策としては、以下の3点が重要とされています:
1. 国内投資の促進:海外への投資流出を抑制し、国内への投資を促進する政策の実施
2. 積極的な移民政策:深刻化する人手不足に対応するための外国人材の受け入れ
3. 産業構造の改革:国際競争力の強化と付加価値の高い産業の育成
特に、閉鎖的な労働市場が日本の競争力を弱めているという指摘もあり、外国人材の積極的な受け入れによる労働市場の活性化が求められています。

円を超える円安は容認しがたいだろう。円の上昇は日米双方にとってプラスとみられる。 ドル円と米国債利回りの下落は後ずれする見通し

●ドル円は2025年末に153円着地を予想するが、トランプ政策次第で変動幅は拡大の見込み。

【2025年】米ドル/円(USD/JPY)予想・今後の見通し

日本経済は深刻な構造的問題に直面しています。人口動態を見ると、20代の人口は60代の8割、10代の人口は50代の6割、10歳未満は40代の半分しかおらず、労働力不足は今後さらに深刻化する見通しです。
また、対外直接投資の継続も大きな課題となっています。2023年9月までのデータでは、対外直接投資は過去最高を更新する勢いです。これに伴い、かつては黒字だった電気機器の貿易収支も赤字に転落しており、日本の貿易構造にも大きな変化が生じています。
さらに、国債問題も深刻です。日銀のバランスシートは大きく拡大しており、政策金利の引き上げは多額の利払い費用を発生させる可能性があります。これにより、金融政策による円安抑制が困難な状況が続いています。

[PDF] 2023・2024・2025年度 日本経済の見通し(改訂)

2025年のドル円相場を見通す上で、はじめに日米金融政策の見方を整理します。米国の金融政策について、弊社は米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年3月と9月、2026年3月と9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、半年に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ4回の利下げを行い、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が3.25~3.50に達したところで利下げは終了と考えています。

設備投資の動向に影響を与える神奈川県内企業の業績は、2025 年 1~3 月期までは堅調に推移

「実需の円売り」が影を潜める中、日米の金利はどう動くか。2025年の為替相場を展望する後編。

当社のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所が四半期ごとに今後の市場環境の見通

日本の金融政策について、弊社は日銀が2025年1月と7月、2026年1月の金融政策決定会合において、半年に25bpずつ3回の利上げを行うと予想しています。無担保コール翌日物金利の誘導目標は、2026年1月時点で中立金利(景気を熱しも冷ましもしない名目金利)のレンジ(1.00~2.50程度、日銀などの資料による推計)下限に達するため、その後の利上げペースは年1回程度となり、次の利上げは2027年1月とみています。

[PDF] 2024・2025・2026年度 日本経済の見通し(改訂)

2025年のドル円相場は170円まで上昇する可能性があります。この予想の背景には、複数の構造的要因があります。第一に、日本の実質金利が継続的なマイナス状態にあること、第二に、アメリカ経済の構造的な強さ、第三に、日本の円安要因が不変であることが挙げられます。
特に注目すべきは、過去4年間にわたって円が主要通貨の中で最も弱い通貨となっている点です。アメリカ経済の一人勝ち状態が加速する中、この傾向は今後も継続する可能性が高いと分析されています。

【2025年】ポンド/円(GBP/JPY)の今後の予想・見通し

次に、これら日米の金融政策の見通しを踏まえ、10年国債利回りの動きについて考えます。米国では、次期トランプ政権が拡張気味の財政政策を行う可能性が高く、タームプレミアム(年限に応じた上乗せ金利)の上昇が長期金利を押し上げる展開も想定されます。利下げが半年に1回程度であれば、米国の10年国債利回りは総じて高止まりしやすい状況になると思われ、2025年12月末の着地水準は4.3とみています。

【2025年S&P500予想】来年の米国株はどうなる?9つのビックリ予想

一方、日本では、賃金の増加や企業の旺盛な設備投資意欲、減税を含む経済対策などにより、国内経済は成長軌道をたどる公算が大きく、また、半年に1回程度の日銀の利上げペースが次第に見通せるようになることで、長期金利に緩やかな上昇圧力が生じると考えています。これらの点を踏まえ、日本の10年国債利回りについて、2025年12月末の着地水準は1.4と予想しています。

ただ、米国株が上昇するなかでリスクオンの円安が強まったため、米

アメリカ経済は「一人勝ち」状態が続いており、その優位性は2025年も継続する見通しです。特に注目されるのは、トランプ次期政権の経済政策です。財務長官としてスコット・ベッセント氏の起用が示唆されていることから、極端な保護主義的政策は回避される可能性が高いとされています。ベッセント氏は関税引き上げに否定的な立場で知られており、むしろ財政赤字削減と規制緩和を通じた民間主導の経済成長を重視する姿勢を示しています。
また、アメリカのIT関連企業の競争力は依然として強く、株式市場への好影響も継続する見込みです。米国家計の金融資産の約4割が株式であり、株価上昇による資産効果も個人消費を下支えする要因となっています。

ドル安 ドル高・円安に/日銀利上げや介入、FRB利下げ ..

日米長期金利差が縮小していく過程では、一般にドル安・円高が進みやすいとされます。弊社は2025年12月末のドル円の着地水準について、1ドル=153円と(図表1)、2025年は次期トランプ政権がどのような政策を前面に打ち出してくるかによって、また、ここに投機的な動きも加わることで、ドル円相場の変動がかなり大きくなることも想定されます。

2025年の為替相場展望 | 今週の為替相場予想(テクニカル分析)

ユーロ/米ドルでは米ドル/円同様に米国FRBと欧州ECBの金融政策の動向の影響が大きく、FRBが2025年に0.5%の利下げ見通しに対してECBは1%の利下げを行うと見られています。つまり金利差的にはユーロ安・米ドル高の傾向が続きやすい地合いです。さらに、欧州と米国の比較では欧州の景気が弱く、主要国であるドイツとフランスの政局もユーロにとって悪材料ですし、ロシアとウクライナの戦争も地政学的リスクとしてユーロ売りの材料となります。ファンダメンタルズ面ではユーロを買う材料は見当たりません。