フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序【糖尿病/心不全/CKD】
フォシーガは、2型糖尿病治療薬として世界で最初に発売された選択的SGLT2阻害剤。日本では2014年3月に2型糖尿病、2019年3月に1型糖尿病の効能・効果で承認されている。
今回の追加承認は、左室駆出率が低下した心不全患者4744例を対象とした国際共同試験(DAPA-HF試験)の良好な結果に基づくもので、フォシーガは、標準治療との併用で、主要複合評価項目(入院または緊急受診と定義される心不全の悪化、あるいは心血管疾患を原因とする死亡)をプラセボと比べ26%低下させた。
アストラゼネカと小野薬品工業は11月30日、選択的SGLT2阻害剤「フォシーガ錠」(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)について、「慢性心不全」に対する効能・効果の追加承認を11月27日付で取得したと発表した。SGLT2阻害剤が、2型糖尿病合併の有無を問わない慢性心不全治療薬として国内で承認されるのは初めて。
フォシーガ錠10mg(アストラゼネカ株式会社)の基本情報・副作用
11月26日、アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は、アメリカ心臓協会(AHA)でDECLARE‐TIMI 58 試験(以下「本試験」と略す)の発表が行われたのを期し、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、糖尿病領域と循環器領域の2つの視点から試験結果に対し説明が行われた。
複数の心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴を有する患者を含む、CVイベントリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価した試験。患者登録では、日本を含む世界33ヵ国882施設から1万7千例超の患者が参加。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。実施はアストラゼネカ株式会社。
糖尿病領域では、門脇 孝氏(一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長、東京大学大学院医学系研究科 特任教授、帝京大学医学部附属溝口病院 常勤客員教授)を講師に迎え、本試験の意義を確認した。
最近の調査から糖尿病患者と一般の健康な人との間では、平均寿命の差に約8~11年の隔たりがあること(2001~10年)、心不全合併症の糖尿病患者は心不全の既往がない糖尿病患者と比較して生存率が低いことなどを指摘、糖尿病患者の心血管イベントリスクへ警鐘を鳴らした。
本試験では、対象に2型糖尿病で「40歳以上および虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患のいずれか1つ以上を有するもの」(2次予防)または「男性55歳以上、女性60歳以上で脂質異常、高血圧、喫煙のいずれか1つ以上のリスク因子を有するもの」(1次予防)を組み入れ、最長6年、平均追跡期間4.2年と長いスパンでみたものであると解説。なかでも「対象者に複数のリスク因子保有者が組み入れられている点は、臨床での実患者像に近い」と同氏は試験の意義を強調した。
本試験の結果につき、48ヵ月経過後プラセボ群のHbA1cが8.3%→8.1%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.3%→7.7%(最小二乗平均の差における95%CI 0.40~0.45)と有意に低下し、体重も同期間でプラセボ群が91kg→89kgだったのに対し、ダパグリフロジン群は91kg→87kg(最小二乗平均の差における95%CI 1.7~2.0)と有意に減少していた。
有効性に関し、主要心血管イベント(MACE)のイベント発生率ではプラセボ群が9.4%だったのに対し、ダパグリフロジン群は8.8%で有意差は認められなかった(HR 0.93[信頼区間0.84~1.03])一方で、心不全による入院と心血管死では、プラセボ群が5.8%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.9%と有意な減少(HR 0.83[信頼区間0.73~0.95])を認め、腎複合評価項目ではプラセボ群が5.6%だったのに対し、ダパグリフロジン群は4.3%と同じく有意な減少(HR 0.76[信頼区間0.67~0.87])を認めた。
安全性では、重篤な有害事象、重症低血糖、急性腎障害、膀胱がんでプラセボに非劣性だったのに対し、投与中止の有害事象、糖尿病性ケトアシドーシス、性器感染症はプラセボよりも高い数値だった。
以上の本試験の結果から同氏は「高血糖とリスクファクターを持つ人は症状こそ見えないが、心不全、腎不全の病態が進行していることが示唆された。また、心血管イベントの既往がない患者さんに対して、心不全・腎イベントの発症を抑制できることが初めて示唆され、今後は、健康な人と変わらないQOLの確保と寿命の維持のためにも、患者個々の背景と合ったエビデンスを持つ薬剤を使用していくべきと考える」と展望を語り、レクチャーを終えた。
続いて小室 一成氏(一般社団法人日本循環器学会 代表理事、東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)を講師に迎え、循環器領域から本試験結果への考察を説明した。
循環器疾患では、「心不全」が増加傾向にあり、重要な疾患と位置づけられている。心不全は、徐々に悪化するので早期から急性イベントや入院を防止することが大切だが、糖尿病患者では主要な合併症であることが知られている。糖尿病患者の生存率は、前述の講演の内容通りだが、「糖尿病患者は、心不全を起こす際に立っているようなものであり、いかに進行の傾斜を緩やかにするのかが重要だ」と指摘する。そのため、糖尿病患者では心不全を発症させないことが大事であり、予防では、糖尿病発症、左室リモデリング、左室機能障害、心不全の診断の4つの予防機会があるという。
その他、本試験のほかEMPA-REG OUTCOME、CANVAS Programの3試験の解析から本試験の対象者のハザード比が低いことも報告された。
実際、これらの試験成績を受けて小室氏は、「SGLT2阻害薬には、心血管既往歴のある2型糖尿病患者の心不全予防に有効だとしながらも、一次予防症例や後期高齢者などへの有効性についてはこれからの課題」である。「今後、治療に関するガイドラインなども議論が活発になると考えている」と述べ、講演を終えた。
※ダパグリフロジンは2型糖尿病のみ承認取得した薬剤であり、心不全や心血管死などへ効能効果はない。また、わが国での開始使用量は5mg/日で、効果不十分などの場合は最大10mg/日まで増量可能。
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アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジー、希少疾患、および循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については または、ツイッター (英語のみ)をフォローしてご覧ください。
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については または、ツイッター (英語のみ)をフォローしてご覧ください。
慢性心不全()に対する標準薬となった阻害薬だが、薬剤間で有用性に差はあるだろうか。ランダム化比較試験()データの比較では否定的だ。一方、実臨床データからは、エンパグリフロジンがダパグリフロジンよりも有用である可能性が示唆された。ボストン大学(米国)の氏らがした。
ダパグリフロジン(フォシーガ®錠)はナトリウム・グルコース共輸送体 2(以下、SGLT2)阻
フォシーガは、ナトリウム・グルコース共輸送体2に作用するファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助治療としての血糖コントロールの改善を適応として、経口1日1回投与で単剤療法または併用療法の一環として使用される。フォシーガの臨床プログラムは、終了済みの試験を含め3万5,000例以上の患者を対象とする35件以上の第2b/3相試験から構成。同剤は、現在までに180万患者年以上に処方された。なお、日本において同剤の心血管イベント、、心不全の抑制、もしくは慢性腎臓病治療薬としての適応はない。
SGLT2阻害薬によって老化細胞が除去され、肥満に伴う糖尿病や動脈硬化、加齢に伴うフレイルの改善、早老症マウスの寿命の延長が認められた。
英アストラゼネカ社は11月10日、「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga)の大規模な心血管アウトカム試験(CVOT)であるDECLARE-TIMI58試験の良好な全試験結果を発表した。この結果は、米国・シカゴで開催中の米国心臓協会(AHA)学術集会2018において発表され、同時に「New England Journal of Medicine」に掲載された。
HFpEF治療におけるSGLT2阻害薬の位置づけ | べーリンガープラス
DECLARE試験は、世界33か国の1万7,000名超の患者を対象にした、これまでで最も大規模なSGLT2阻害剤の心血管アウトカム試験。主要評価項目のひとつである心不全による入院または心血管死の複合評価では、フォシーガ群はプラセボ群に対して、有意に17%のリスクを減少(4.9%vs.5.8%;ハザード比[HR]0.83[95%信頼区間(CI):0.73-0.95],p=0.005)。心不全による入院または心血管死の減少は、心血管リスクを有する患者群ならびに心血管疾患の既往歴のある患者群を含むすべての患者群において一貫して認められた。さらに、もうひとつの主要評価項目である主要心血管イベント()は、フォシーガ群で発現頻度は少なかったものの、統計学的な有意差は認められなかったという(フォシーガ群8.8%vs.プラセボ群9.4%; HR0.93[95%CI:0.84-1.03],p=0.17)。
剤の心血管アウトカム試験ですが、この全試験結果が2018年11月10日にシカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会で発表.
“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みおよび進行中の試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。またフォシーガは、現在、2型糖尿病合併の有無に関わらず、駆出率が保たれた心不全患者さんを対象として有効性を評価するDELIVER第Ⅲ相試験および急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象とした第Ⅲ相DAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。
アストラゼネカと小野薬品工業は11月30日、選択的SGLT2阻害剤「フォシーガ ..
フォシーガは、米国において、成人2型糖尿病における血糖コントロール改善のための食事および運動療法の補助療法として承認され、また、第Ⅲ相 CVアウトカム試験の結果に基づき、標準治療への追加療法で、成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下の適応 *を取得しています 12。また、フォシーガは第Ⅲ相 、第Ⅲ相 試験の結果に基づき、2型糖尿病合併の有無に関わらず、 、および として承認された最初のSGLT2阻害剤です 1,13。
”2022 AHA/ACC/HFSA Guideline for the Management of Heart Failure ..
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、1日1回、経口投与のファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。研究により、心腎疾患の予防および進展抑制、ならびに各臓器の保護に対するフォシーガの有効性が示され、心臓、腎臓および膵臓の臓器間の基本的な関連性を示す重要な知見が得られました 1,12,13。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器の機能低下を引き起こし、全世界で主要な死因となっている2型糖尿病、心不全およびCKDを含む疾患の発症につながります 14-16。
フォシーガ:ブリストル・マイヤーズ製造、小野薬品販売)やエンパグリフ ..
左室駆出率が保たれた慢性心不全における有効性・安全性は確立していないため、添付文書には「左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること」と記載された。
1) 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of ST-Elevation ..
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、フォシーガ10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験です。フォシーガ は1日1回、ACEiもしくはARBによる治療と併用されました。複合主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、心血管または腎不全による死亡)リスクでした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました 1。結果は に掲載されました 1。
アントラサイクリン系化学療法を受ける高リスク患者におけるサクビトリル/バルサルタンの心毒性予防効果: SARAH試験
CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患です(eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されています 4。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎です 10。CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与しています。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります 2。CKD患者さんの多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しています 11。現在、日本におけるCKD患者数は、約1,300万人と推定されています 6。
|浦安トレーニングサイト主催 AHA-BLSプロバイダーコース
フォシーガは、成人および10歳以上の小児(日本では成人にのみ承認)の2型糖尿病患者さんにおける、食事および運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善を適応として承認されています。また、フォシーガは、第Ⅲ相DAPA-CKD試験の所見に基づき、成人におけるCKDの治療薬としても承認されています。