豪ドルを発行するオーストラリアは、格付けが良く信用リスクが低い国です。
以下は、豪ドル/日本円とCRB指数(ロイター/ジェフリーズCRB指数)を比較したチャートです。
仮にコモディティ市場が上昇していくのであれば豪ドル/日本円の上昇を後押ししますが、下落していくのであれば豪ドル/日本円の下落要因となる可能性もあるかもしれません。
引き続き、インフレ・ウクライナ侵攻・主要国の金融引き締めなどに注視していきたいところです。
OANDA証券では、初心者の方でも取引を始めやすいよう1通貨から取引を行えます。
たとえば1豪ドル95円とした場合、約4円から取引を始めることが可能です。
豪ドル/日本円の今後の値動きを、テクニカル分析から見ていきましょう。
2008年の豪ドルの金利は約7%もあり、かつては高金利通貨として人気を誇ったほどです。
その後は下落基調となり、2021年~2022年にかけては過去最低の「0.1%」まで下がっています。
しかし2022年5月の金融政策決定会合で利上げに踏み切り「0.35%」まで上昇、その後も緩やかな上昇を続け、2022年10月には「2.6%」、11月には「2.85%」、12月には「3.1%」まで上昇しています。
豪ドル/日本円(AUD/JPY)の今後の動向を見る上でのポイントは、主に以下6つあります。
オーストラリアは世界第6位の広大な土地 (日本の約20倍) に約2,626万人 (2022年12月) の人々が暮らす国です。19世紀に全土がイギリスの植民地となって以来、主にイギリスからの移民によって人口が拡大しました。現在でも英国連邦に属し、英国のチャールズ3世国王がオーストラリア国王を兼ねていて、英国との親密な関係が維持されています。
先進国でありながら金、鉛、ニッケル、ウラン、亜鉛、鉄鉱石などを産出する天然資源が豊富な国です。そのため新興国の成長によって“資源ブーム”が起こった2003年から2007年頃には、オーストラリア経済も好調で、オーストラリアドル (豪ドル) は金利が高く、投資家の人気を集めました。しかし、新興国経済が減速した2016年以降は、経済成長が伸び悩み、金利も低下傾向でした。
輸出における資源・エネルギーの割合は約50%と非常に高いものの、実は鉱業がオーストラリアのGDPに占める割合は約10%とそれほど高くはありません。GDPの約70%は金融や公益事業、消費関連などのサービス業が占め、オーストラリア経済の主役となっています。移民政策も含め、先進国としては珍しく当面の人口増加が見込まれている点にも注目すべきでしょう。しかしやはり資源・エネルギーの輸出はオーストラリア経済の足元を固めています。その点で今懸念があるとすれば、輸出入ともに相手国として中国が第一位である点です。中国の景気に左右されやすく、今後の米中関係、中露関係の行方や、中国の太平洋への進出によって豪中関係に変化があると、大きな悪影響が出る可能性があります。
コロナ禍に対しては、当初は国境封鎖をはじめとする強力な感染対策による封じ込めに成功しましたが、その後、感染が拡大するとともに、第2の都市メルボルンでは累計で世界最長となったロックダウンが実施されるなど経済活動に深刻な悪影響が出ました。ただ、出遅れたワクチン政策が軌道に乗ったことで、2022年10月にはほとんどの規制が解除されました。
2022年2月にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を開始して以来、オーストラリアを含む西側諸国はウクライナに物心両面で支援を続けていますが、ロシアに対しては経済制裁を科すなど厳しい姿勢を示しています。この間も中国は西側諸国と異なってロシアとの緊密な関係を維持しています。加えて中国による海洋進出をけん制することも目的のひとつとしてAUKUS (豪、英、米) やQUAD (日、米、豪、印) などの取り組みも始まっています。さらにソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結したことをオーストラリアは強く懸念していて、今後豪中関係に大きな変化があれば経済へのネガティブな影響となることが考えられます。
長年高金利が魅力とされてきた豪ドルですが、コロナ禍後の利上げサイクルでは米英などに比べやや慎重な利上げペースとなっていました。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年5月に政策金利を0.10%から0.35%に引き上げて利上げを開始し、2023年6月までに4.10%まで引き上げました。その後アメリカの利上げが終了したとの見方が広まる中、しばらく様子見をしたものの2023年11月に再び4.35%へ引き上げました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方RBAは2024年6月の理事会まで政策金利を据え置いていますが、「インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」「インフレ率を2~3%の目標範囲に戻す道のりはまだ長い」として、必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明しています。すでに2024年6月に利下げをしたユーロ圏に続いて、アメリカ、英国など主要国が年内に利下げに転じると見られる中、タカ派的な態度を崩していないオーストラリアは、他国との違いが際立つ形となっています。
以上、豪ドルの特徴について解説しました。
続いて、豪ドル/日本円は今後どのように価格推移していくのかを様々な観点から分析していきます。
オーストラリア・ドルから日本円への為替レート。AUD/JPYの両替
国が財政難や経営不振などの理由によって、債務不履行(元本の償還や利子の支払いなどが契約通りに行われないこと)になる可能性のことです。
万が一、債務不履行になった場合は、元本が償還されない可能性もあります。
【2024年前半】豪ドル円(AUD/JPY)の今後の見通し・予想
大きな方向性は似通っており、豪ドル/日本円と「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」の相関性が確認できます。
「」でも述べたように、金利差は為替相場にも影響を与えるので、確認をするようにしましょう。
豪ドル/日本円のライブチャートや為替レートを瞬時に換算できる通貨コンバータ、ニュースなどはこちらをご覧ください。
豪ドル/日本円は、「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」と相関関係があります。
以下は、豪ドル/日本円と「豪10年債利回り-米10年債利回りの差」の値動きを表示したチャートです。
豪ドル、一時急落 99円割れ目前 トランプ関税で経済見通し懸念
2003年~2023年の過去20年間、豪ドル円はどのような要因によって推移してきたのか、以下で詳しく見ていきましょう。
豪ドル円相場で一時、99円割れ寸前まで豪ドル安が進んだ。トランプ氏の対中関税をめぐる言及が材料視されたが、見通しでは底堅さも示されそうだ。
豪ドルは先進国通貨でありながら資源国通貨の側面をあわせ持つ通貨です。資源価格が上昇すると豪ドル相場も上昇する傾向があります。
オーストラリアは歴史的に先進諸国の中ではインフレ率が高くなりがちなことから、金利も他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。そのため、世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、豪ドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出して豪ドル安となることもあります。
米ドルやユーロなどと比べると、市場規模が小さいため、投資資金の移動が始まると一方的な動きとなりやすい特性もあります。また値幅も非常に大きく、変動のスピードも速くなることが多いため、余裕をもった投資を心掛けることが必要でしょう。
豪ドルの強みを再度確認しながら今後の見通しを考えます。 (制作協力:レッグ・メイソン・アセット・マネジメント)
このように金利の変動は、為替相場の動向に大きな影響を与えます。
豪ドルを取引する際は、RBA(オーストラリア準備銀行)の動向は欠かさず確認しておきましょう。
豪ドル、名目GDP比で4.9%に達した。 金融グローバル時代における
が公開する店頭外国為替証拠金取引月次出来高の通貨ペア取引金額(2023年11月時点)では、ドル円・ポンド円に次いで豪ドル円が第3位となっています。
[PDF] 豪ドル安で輝きを増す オーストラリアのサービス産業
先進国の中では歴史的に金利が高い通貨ですので、金利動向には敏感に反応します。またRBA総裁などの金融当局者や、政府閣僚などから、為替水準に関する発言が比較的多くあり、その内容が市場で注目されます。高金利を背景に投資対象として見られることが多いことから、世界が政治的、経済的に安定している時には豪ドル高になりやすく、反対に混乱すると豪ドル安になりやすい性質があります。
現在は輸出主導型から内需中心の経済へ移行しつつありますが、それでも豊富な天然資源や食料品の輸出は盛んです。したがって、世界的な景気に影響を受けることはもちろん、貿易相手として輸出入ともに第1位の中国の景気に左右されるため、自国の経済指標と同様に中国の経済指標も豪ドル相場に大きく影響します。また資源国通貨の側面もあることから、原油・鉄鉱石・金など資源価格の変動も、豪ドル相場を動かす要因となり、商品市況の動きにも注意する必要があります。
オーストラリア・ドル/円の為替レートの推移(1980~2024年)
豪ドルか日本円で資産運用する場合、どちらの通貨で運用したいと思うでしょうか?
大半の方は、豪ドルで運用したいと答えるはずです。
そうなると豪ドルを買い、日本円を売ることが多くなり、結果的に豪ドルの価格が上昇し、日本円の価格が下落します。
金利差がさらに開けば、豪ドルの買い、日本円の売りがさらに加速するのです。
豪ドル/米ドルのライブチャートや為替レートを瞬時に換算できる通貨コンバータ、ニュースなどはこちらをご覧ください。
たとえば豪ドルの金利は「+2.5%」、日本円の金利は「0%」と想定します。
仮に100万円の資金で1年間運用すると、1年後に豪ドルは「102.5万円」、日本円は「100万円」のままです。
(例では話を単純にするため、為替レート、税金などは考慮していません)
ドル紙幣が世界で初めて発行されました。現在流通している全ての豪ドル札は、ポリマー製です。 ポリマー幣
「」でも述べたように、豪ドル相場の方向性を分析する上で、オーストラリアの経済指標を確認することは大切です。
その中でも特に、政策金利を決めるRBA(オーストラリア準備銀行)の動向は、投資家たちから大きな注目を集めています。
なぜなら、一般的に経済が安定している状態の時は、金利の高い国のほうに投資資金が流入しやすい(買われやすい)傾向にあるからです。
豪ドルは契約時に選択できる通貨として、米ドル・ユーロとともに多くの生命保険会社で採用されています。 オーストラリア経済の魅力
豪ドル相場は、BRICsなどの新興国が台頭し、米国経済も好調だった2006年から2007年にかけて、資源輸出が大きく拡大し経常黒字が増加したことに加え、世界経済が安定的に推移したことも手伝って1豪ドル=80円台から107円台まで大きく上昇しました。
2008年9月にリーマンショックが発生すると、投資資金が一気に流出し1豪ドル=101円台から50円台まで急落しました。世界経済の混乱が豪ドル相場に悪影響を与える典型的な動きでした。しかし中国が大型景気対策を講じると、資源輸出の回復期待から豪ドルは反発へ転じ2010年4月には1豪ドル=88円付近まで上昇しました。さらにアベノミクスによる全般的な円安が始まると2013年4月には1豪ドル=105円台まで上昇しました。しかし2015年に入ると、関係の深い中国経済の減速や急激な原油安 (商品市況安) から豪ドル安となり、2016年6月には1豪ドル=72円台まで下落しました。
2020年初めから新型コロナの拡大によるリスク回避の動きが広がると、1豪ドル=80円付近から60円割れまで急落しました。しかし世界的な景気回復が始まると反発、エネルギーを中心とした資源価格の急騰も後押しとなって、1豪ドル=85円台まで反発した後、1豪ドル=80円付近を中心とした値動きとなりました。
2022年に入って、オーストラリアを含む各国の利上げが始まりましたが、日本が異次元緩和政策を維持したことから全般的な円安の動きとなって2022年9月に1豪ドル=98円台まで上昇しました。その後円相場が反発すると2023年に1豪ドル=86円付近まで下落する場面もありましたが、日経平均株価が40,000円乗せまで上昇する中、再び円売りが優勢となって2024年4月、豪ドルは約10年ぶりに100円台に乗せました。この間、日銀が2024年3月に2013年から続けてきた異次元緩和を終了し、約17年ぶりとなる利上げを決定しましたが、植田日銀総裁が「緩和的な金融政策を継続することが大切」などとしたことから円高の動きにはつながりませんでした。しかしRBAが2024年6月に追加利上げを排除しないと表明したことから、1豪ドル=105円後半と約17年ぶりの高値まで上昇しました。
ユーロ圏をはじめ主要国が金利引き下げサイクルに移行する中、オーストラリアが追加利上げをしたり、利下げ開始時期がさらに先送りされたりすると、豪ドルは一段と上昇すると考えられています。
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為替相場は金利差によって大きく影響されるので、豪米国債利回り差も確認しておくと良いでしょう。
以下は、豪ドル円と豪米国債利回り差の値動きを比較したチャートです。